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SAコラム

「SAコラム」は、サイエンス・エンジェル(SA)たちが、自分の研究の様子や普段の生活などを語り、女性科学者(大学院生)としての日常を紹介することで、 多くの女子高校生(及び大学生・中学生)に“私もやってみたい”“理系っておもしろそう”と感じて頂く為に企画しました。一般の方にも科学の面白さをお伝えできれば幸いです。

vol.5 体内時計と早起きの方法?!
薬学研究科 細胞情報薬学分野 乾 文恵

こんにちは。薬学研究科 細胞情報薬学分野の乾 文恵です。今回のコラムでは、実際の研究のお話をメインに普段の生活を少し書きたいと思います。わたしの研究室では、怪我をしたときに血を止めるメカニズム・血小板の凝集や、床ずれのできるメカニズムなど、人の生理現象を細かく解明することを目標に研究を行っています。そんな中、わたしが取り組んでいるのは体内時計に関する研究です。

体内時計ってちょっと耳慣れないかも知れませんが、カビから人までほとんどの生き物は体の中に体内時計を持っていて、24時間という周期に合わせたリズムで生活しています。 具体的には、起床と就寝のリズムや、体温やホルモンの分泌リズムなどが24時間で調節されているわけです。そういえば、腹時計なんてものもありますね。そんな大切な時計は「脳」のとある部分にあります。でも、その部分がどうやって1日の時刻を感じ取っているのか、そしてどうやってその時刻を全身に伝えてからだのリズムを調節しているのか、詳しいことはまだまだ謎に包まれています。それを1つ1つ明らかにしていくことがわたしの研究テーマなわけです。体内時計に異常があると、不眠症や、極端な早寝早起きになることがあり、これら病気の治療に時計のメカニズムの解明はとても大切なのです。

さて、実際に実験で使っているのは、マウス、いわゆる二十日ネズミです。普段はマウスの行動リズムを測定したり、脳を40μm(なんと0.04mm!!)にスライスしたものを顕微鏡で観察したりしています(写真1)。ハムスターを飼った事のある方は経験されているかも知れませんが、ハムスターやマウスは夜行性であり、毎日大体決まった時刻になるとケージの中の車輪を回し始めます(写真2)。車輪を回し始める時刻を測定することで、マウスの体内時計が今何時なのかを間接的に測定していることになるわけです。マウスを手に乗せて私の手と大きさを比較してみました(写真3)。この小さな体の小さな脳の、さらに顕微鏡で見ないとわかないような小さな部分に体内時計があるというのだから驚いてしまいます。実際に体内時計がどこにあるのか見てみたい!と思った方はだいぶ先の話ですが、是非是非オープンキャンパスに来てくださいね。そしてS.A.企画のイベントにも来てくれるとうれしいです!(宣伝でした)。

人に体内時計の研究をしていますと話すと、「どうやったら早起きできるんですか?」という質問を良く受けます。そこで、私なりの回答を考えてみました。早起きするためには、「早朝に光を浴びる」ことが大切です。そして、すっきり起きるためには「起きてから軽く運動する」ことが大切です。これは、脳の体内時計が早朝の光の刺激に敏感に反応して「早起き型」の時計になり、運動の刺激によって体を起こそうとするからです。そうそう、最近走り回る目覚ましなんてものが発売されたそうですが、実際に目覚まし時計を追いかけて運動することで、体内時計が活性化されて体が目覚めてくるわけです。 朝起きたら、まずカーテンを開けて太陽の光をいっぱい浴び、軽くストレッチなどをするとスッキリ起きられるようになる・・・はず?!

では、お休みの日に何をしているかを少し紹介します。普段はわりと遅くまで学校に残ることが多い分、休みの日は友達と買い物に行ったり、そのままカラオケや飲みに行っておしゃべりをすることが楽しみです。軽音サークルにも所属しているので、ライブのあるときは聞きに行ったりもします。平日と区切りをつけてメリハリよく生活するのが楽しく研究を続けるためには大切なのかなと、最近思います。

最後に、このSAコラムを読んだことで少しでも理系っておもしろいかも!研究っていいかも!と思ってもらえ、その中から将来のサイエンス・エンジェルが生まれるといいなと思います。



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