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SAコラム

「SAコラム」は、サイエンス・エンジェル(SA)たちが、自分の研究の様子や普段の生活などを語り、女性科学者(大学院生)としての日常を紹介することで、 多くの女子高校生(及び大学生・中学生)に“私もやってみたい”“理系っておもしろそう”と感じて頂く為に企画しました。一般の方にも科学の面白さをお伝えできれば幸いです。

vol.18 SA活動で学んだこと
生命科学研究科 分子応答制御分野 舘田知佳

こんにちは。生命科学研究科分子応答制御分野の舘田知佳です。
 私は、植物の細胞死に関する研究をしています。「細胞死」と聞くと、ちょっと悪いイメージがありますが、私の研究している細胞死は、植物を守るために起こる良い細胞死なんです。死ぬのに守るって、矛盾していない?と思いますよね。

と、その説明をする前に、私達人間の体は、数兆個の細胞から構成されており、日々新しい細胞が作られ、古い細胞は消失されています。この、役割を終えた細胞を片付ける作業は、アポトーシス=プログラムされた細胞死と呼ばれています。みなさんご存知の癌は、細胞の増殖とアポトーシスのサイクルに異常をきたした結果、生じるものです。

ところで植物も、このアポトーシスと似たような現象を引き起こします。植物の場合は、病気に感染した時などに、自分の身を守るために、細胞死を引き起こします。植物側が病原菌の侵入を認識すると、病原菌が潜伏している細胞を死滅させます。植物に被害を与える病原菌の多くは生きた植物を餌として生きているため、細胞死が起こった部分で病原菌は、増殖はおろか生き延びることさえもできません。そのため、植物は、自身の一部を犠牲にする代わりに体全体を守り、結果としてすくすくと生きていくことが出来ます。

というわけで、最初の話に戻って、局部的な「細胞死」=全体を「守る」ことになるんです☆このメカニズは様々な遺伝子のシグナル伝達によって引き起こされるのですが、私はこの中に関連した遺伝子に着目して研究を行っています。植物の細胞死は、人間のアポトーシスと似たような現象だと書きましたが、厳密には、植物の細胞死=アポトーシスではないと言われています。その理由の一つとして、アポトーシスの定義とされている因子が植物にはないからという点があります。ただ、アポトーシスに関連する遺伝子・タンパク質達は、植物でも同じような働きをしているんですよね・・・・(T_T)でも、逆に考えたら、植物独自の機構があるのでは!?というわけで、植物だけが持っている細胞死関連因子が発見できたらいいなぁという期待のもと、日々研究をしています☆

そんな研究生活の中で、SA活動をして、いろいろなことを発見できました。昨年度末にSA研究交流会の実行メンバーに誘っていただき、SAって楽しいかもと思いました。そしたら、“時間がない”ではなく“なんとかして時間を作ろう”と思えるようになりました。さらに今回、最初から企画に携わる機会を頂いて、事務手続きやメールのやりとりの大変さとか・・・なんか大変なことばっかり書いてますが、実際大変な作業ですよね!?ですが、それを全く感じさせないSAとスタッフの方々ってすごい!!ということや、経験をしないと楽しさも大変さもわからないという事を学びました。それは、個人の研究生活、研究室でも応用できることなんじゃないかなと思っています☆次の世代に科学の楽しさを伝えるSA活動で、自分がいろいろ発見できるなんて、お得な感じがしています(*^_^*)

写真1:植物が引き起こす細胞死。
     見えずらいのですが・・・・(-_-)矢印のところのような細胞死を起こします。
写真2:オーストラリアの学会にて。実は、これが生まれて初めての海外旅行(?)でした。
写真3:2007年12月 青葉区中央市民センターにて



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