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SAコラム

「SAコラム」は、サイエンス・エンジェル(SA)たちが、自分の研究の様子や普段の生活などを語り、女性科学者(大学院生)としての日常を紹介することで、 多くの女子高校生(及び大学生・中学生)に“私もやってみたい”“理系っておもしろそう”と感じて頂く為に企画しました。一般の方にも科学の面白さをお伝えできれば幸いです。

vol.23 研究のすすめ
生命科学研究科 生態システム生命科学専攻 生物多様性進化 手塚 あゆみ

こんにちは。生命科学研究科の手塚あゆみです。
 『研究』という言葉に対するイメージってどんな感じでしょうか?
 部活ばっかりやって宿題すら忘れていたような高校時代の私は、難しそうで自分とは関係ないことだと思っていました。研究に夢中な今の私が、もし当時の私に出会えるならば、研究って確かに大変で難しいけど、それ以上に楽しく、感動的だということを教えてあげたいと思うわけです。さすがにそれは無理なので、今、みなさまに研究をお勧めしたいと思います。

まず、私の研究に関して説明しますね。
 私の専門分野は『進化』です。進化学とは生き物のなぜ?を問う学問です。ちなみに私は、熱帯魚のグッピーのなぜ?を研究しています。このグッピー、観賞用の魚を売っているところなら間違いなくいる魚なのですが、この小さくカラフルな魚は他の魚とは大きく違う特徴を持っています。それは、同じ種であるのに、カラフルな色のパターンや種類がバラバラだということです。この色はオスがメスを惹き付けるための婚姻色と呼ばれるもので、つまりメスにモテるためにカラフルになっているのですが、他の魚では、同じ種なら婚姻色もたいてい同じです。グッピーでは、なぜ、ばらばらなのだろう?ということを明らかにするために研究をしています。もし、今度ペットショップに行くことがあったら、見てみてくださいね。

私の研究室では、多種多様な生物を対象として進化の研究をしています。生物を用いる以上、生物をとってこないといけないわけです。外に出て、生き物を実際とってこようとすると、その生き物の視点にならなくてはいけません。そうすると、『あれ、こんなに生き物っていたんだ』とか、そんな当たり前のことに気づかされます。そういった実体験と、日々の勉強が結びつくと、雑草扱いしていたもの、飛んできて気持ち悪いなぁこの虫ぐらいにしか思わなかったもの、あ、魚泳いでる・・・とか適当に認識していたようものが、とても特別なものになったりします。一度そういう視点を手に入れると、ただ道端を歩いていても世の中ってなんて面白いんだと感動してしまったり、知りたいという気持ちがつのり、別に勉強好きでもなかったのに気がつくと何時間も机にかじりついていたりするのです。

ちょっと興奮してきたのでここで少し落ち着きつつ話しを変えますが、研究は限られた人のみのものではありません。すごく頭が良くて他のことには興味ない人がやるようなイメージがあったりするかもしれませんが、そんなことはありません。知りたいと思う情熱のほうが大切だし、時にはリフレッシュするための趣味だって必要です。実際に私の研究室では教授をはじめとし、週末にはサッカーを楽しんでいたりします。私も時々混ざっていますが、そのたびに誰よりも走り回る教授の姿をみて、研究者に大切なのは体力なのかなとこっそり思っていたりしています。
 多少辛くても楽しいことが好きな人、熱中できるものに出会いたい人、むしろなんとなく世の中つまらないかもと思っている人、精神力・体力に自信のある人などなど・・・研究はとても面白いです。私には無理とは思わず、一度経験することをお勧めします。

写真1: グッピーのオス。どこにどんな色があるのかがばらばら。
写真2: グッピーの遺伝子を用いた実験中。
写真3: 後輩のサンプリングのお手伝いの道中。緑に癒される。



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