サイエンス・エンジェルの体験科学ひろば@仙台市博物館
11月23日・24日、23名のSAによる企画“サイエンス・エンジェルの体験科学ひろば@仙台市博物館”を開催しました。
天候にも恵まれ、2日間で約900名の方々にご参加頂きました。沢山のご来場ありがとうございました。
また、打合せの段階より大変お世話になりました仙台市博物館の学芸員齊藤様にも厚く御礼申し上げます。

【目次】
政宗の食と健康 / 政宗は健康オタク?食事バランスガイド、血圧測定
ミクロの世界・マクロの世界 / 生命(DNA)、宇宙
おもいのほか頼りない視覚 / 幾何学錯視、立体錯視の模型
テーブルサイエンス / 無重力だとどうなるの?、シャボン玉、ペットボトルを使った身近な科学の世界、ルービックキューブに挑戦、科学クイズに挑戦
自然との出会い / 遊歩道ツアー、これは何の木?昆虫のふしぎな行動!よくみてみよう
トライサイエンス / 食べ物からDNAをとりだしてみよう、落ち葉で作ってみよう
講演会 / 小谷元子教授、大隅典子教授
受付、記念撮影
来場者の方々から頂いたご感想
企画実施者の感想1 企画・実施責任者 当支援事業次世代支援班 布柴達男
企画実施者の感想2 企画・実施副責任者 当支援事業次世代支援班 久利美和
企画実施者の感想3 参加SAの感想
政宗の食と健康
政宗は健康オタク?、食事バランスガイド、血圧測定
 薬学・医学のSAが博物館とのコラボレーションで企画し、仙台藩初代藩主伊達政宗が健康に大きな関心をもっていたことを紹介しました。政宗が侍医の高谷松庵へ宛てた薬の調合を命ずる手紙や、松庵へ与えたと伝えられる美しい蒔絵の薬箪笥など、博物館2階にある総合展示室の展示内容と関連付けて説明しました。また、陰陽五行論にもとづく当時の東洋医学についても紹介し、昔ながらの生薬が、現代の薬学・生命科学の分野で生かされていることも説明しました。

  その他、前日にとった食事のメニューから、バランスの良い食生活ができているかどうかが一目でわかる“食事バランスガイド(農林水産省・厚生労働省作成)”診断や、血圧測定コーナーもあり、幅広い年齢層の方々からご好評を頂きました。

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ミクロの世界・マクロの世界
生命(DNA)
 生命科学・薬学・農学のSAによるこのコーナーでは、両親の細胞から新しい1つの細胞が誕生し、分裂を繰り返して“自分”ができてゆくしくみや、細胞の数、染色体の長さなど、ミクロな細胞の世界を紹介しました。

 ―遺伝子というのは「私の鼻はこんな風に作ります」とか「ぼくの足はこんな形にします」という設計図のことで、そんな遺伝子がたくさん集まったものがDNAなんだよ―易しい表現を選びながら手作りツールで説明しました。
 カラフルで楽しい、まるでパズルや玩具のようなツールが子供たちの関心を誘ったようで、どの子どもたちも、興味深そうにうなずいたり、SAからの問いかけに元気良く答えたりしていました。

 2日間、いっぱいのお友達と触れ合ったドナ(DNA)ちゃん。「遺伝子の情報から体ができる」、一連の流れを「体験」してもらうために大活躍!たくさんのお友達がドナちゃんの「胃の細胞」の中にある「胃を作る遺伝子」の情報をもとにして、パズルをしながら、ドナちゃんの胃を作ってくれました。ドナちゃんの「胃を作る遺伝子」からは、「心臓を作る」ことが出来ませんでしたね。。。

(3つめの画像がDNAパズル“ドナちゃん”)
宇宙
 理学のSAたちによるこのコーナーでは、オリジナリティーに富んだ様々な展示を使って、子どもたちに太陽系の大きさや宇宙の広さなどを実感してもらいました。

  ―太陽系を仙台の街に例えると、地球から惑星までの距離ってどのくらいでしょう?―仙台市の地図上に惑星のマークを並べたり、いろいろなサイズのボールを使って惑星の大きさを説明したり。年齢層を問わず、沢山の方にツールを手にとって頂き好評でした。
 また、宇宙の始まり「ビッグバン」や、まだまだ知られていない「ダークマター」「ダークエネルギー」の説明、人工衛星「かぐや」のビデオコーナーもあり、宇宙や天文が大好きという子どもたちが夢中になっていました。

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おもいのほか頼りない視覚
幾何学錯視、立体錯視の模型
 まっすぐなはずなのに曲がって見えたり、同じ大きさのはずなのに異なって見えたり、動いていないはずなのに動いて見えたり。「錯視図形」を中心に、ものの見え方の不思議を紹介しました。

  情報科学のSAによるこのコーナーは、これまでのイベントにも登場したおなじみのコーナーですが、今回は平面図だけでなく立体の錯視模型も登場し、子どもたちの興味を誘っていました。
 版画家エッシャーの作品のような、絵に描くことはできても立体としては作れないような図形(だまし絵)が立体で再現され、模型を手に取った大人の中には、感心される方もいらっしゃいました。

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テーブルサイエンス

工学・薬学・理学・生命のSAが専門分野にこだわらず、“身近な科学を楽し む”をテーマに知恵を出し合いました。

無重力だとどうなるの?
 学生航空機実験のサポート活動を行っているSAが、無重力の不思議な世界をムービーを使って紹介しました。身近なはずの現象も、無重力では全く違った様子が観察されます。

 ―しゃぼん玉は、普段は重力のせいで下の方の膜が厚く、上の方の膜が薄くなっていて、縦に長い球ですが、無重力空間では真球(まん丸)になります―大きな画面に映し出される映像を指しながらひとつひとつ解説しました。
  その他、手元に水がまとわりついて濡れたタオルがしぼれない様子や、スープが丸い粒になってしまいつまんで食べる様子、美しい結晶ができていく様子など、無重力空間で行われた様々な実験のムービーを上映しました。子どもたちはもちろん、大人の方々も興味津々でご覧になっていました。
シャボン玉、ペットボトルを使った身近な科学の世界
【シャボン玉】
 ―シャボン液に丸い枠を浸して空中で吹くと、おなじみの丸いシャボン玉ができます。では、三角錐(正四面体)や立方体(正六面体)の枠をシャボン液に浸したらどんな膜ができるのかな?―SAの説明を聞きながら、子どもたちそれぞれに自分の手で確かめてもらいました。 さて、結果はいかに・・・?予想外の実験結果に、皆驚きの表情をうかべ、何度もシャボン液に浸して確かめていました。(表面張力が働く為、枠の内側に最小面積の膜ができます)
 上手にシャボン液をつけるにはコツが要るようで、子どもたちだけでなく、模範を示すSAも真剣な面持ちで一生懸命に取り組んでいました。

【ペットボトル】
  ―ペットボトルの中に息を吹き込んでくもらせてみて―SAの説明を聞きながら実験に参加する子どもたち。この後どうなるの?と不思議そうな表情をうかべていましたが、ドライアイスで冷やしたペットボトル内に現れた雪の結晶を見たときには、「わぁ〜っ!」と声を上げていました。
 結晶は、その時の温度や水分量で様々な形になります。美しい結晶の写真集に、子どもたち(特に女の子)は夢中になっていました。
ルービックキューブに挑戦
 ―皆さん、ご存じでしたか?ルービックキューブのパターンは全部で43,252,003,274,489,856,000通りあります。数学の群論と関係しているんですよ―という説明はほどほどに。手に取って回し始めると、なかなか止められません。コーナーに掲示されたルービックキューブの戻し方の手順を見ながら、子どもも大人も一生懸命挑戦して下さいました 。

【群論との関係】
  群論の世界では、ルービックキューブの回し方を「元(げん)」と言い、元の集まりである条件を満たすものを「群(ぐん)」と言います。ルービックキューブを解くということは、「逆元」を探すことです。
科学クイズに挑戦
 各コーナーからの問題もあり、「あーわかったー。」楽しく三択クイズに挑戦してくれました。親子で一緒に考える光景も見られ、ちょっとくつろぎの場にもなったようです。パソコン操作に慣れたこどもが多いことに驚きました。

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自然との出会い
遊歩道ツアー
 農学・生命科学・環境科学のSAのガイドで、博物館を囲む自然を観察して歩くツアー。2日間で4回行い、毎回先着10組の皆さんにご参加頂きました。

  トチノキ、ホウノキの大きな葉や、赤いビーズが集まって出来たようなマムシグサなどの紹介に始まり、ネズミやリスの食痕(木の実がかじられた痕)やネズミの住む穴、ジョロウグモ、ザトウムシ、マガモなどを説明しました。
 歩きながら皆で「紅葉(もみじ)」を歌ったあと、「もみじというのは、実はいろんなカエデの総称なんです」と説明。「へぇ〜!知らなかった」と、大人の方々にも新鮮な気持ちで楽しんで頂けたようです。
  さらに、昆虫を採取するための仕掛けづくりや、太古の地層などについても触れ、何気無い身近な自然の中にも、注意深く見てみるといろいろな発見があるということを伝えました。
これは何の木?昆虫のふしぎな行動!よくみてみよう

 迷路の中で歩くダンゴムシが左右交互に曲がって進んだり、シーソーに乗ったテントウムシが常に高いほうに向かって歩いたり。昆虫のおもしろい習性を観察しました。マイペースな昆虫の動きに、子どもも大人も心が和みました。連日の熱気にムシたちも少々お疲れ気味でした。

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トライサイエンス
食べ物からDNAをとりだしてみよう
 講習室を会場に2日間で計6回、毎回約10組の方々に、バナナからDNAを取り出す実験に挑戦して頂きました。

 バナナ、食塩、食器用洗剤、コーヒーフィルター、消毒用アルコールといった、家庭でも準備しやすい身近にあるものを使ってDNAを抽出。
 ただ手順に従って体験してもらうのではなく、ひとつひとつの過程について「○○しやすくするために加えます」などの説明も添えて行うことで、小学校高学年や大人の方にも興味をもって取り組んで頂けたようです。
 実験を始める前にSAが、「バナナのDNAを食べたことあるひと、手挙げて」と言ったら、誰一人手の上がらなかったのに、実験後に同じ質問をしたら、少し考えた様子でゆっくり手が上がっていきました。野菜やお肉を「食べる」ということは、実は「DNA」を食べてるんですよ!未来の“博士”たちは、自分の手を動かし、大切なことをひとつ自分で”発見”して、持ち帰ってくれました。
落ち葉で作ってみよう(落ち葉を使った工作)
 講習室を会場に2日間で計4回、毎回約10組の方々に、落ち葉を使った工作に挑戦して頂きました。

 ドロドロに溶いた牛乳パックを材料にして落ち葉を挟んだ“紙すき”と、台紙に落ち葉を綺麗に貼り合わせる“しおりづくり”を行いました。
  予想以上の申込みがあり、用意していた材料が足りなくなってしまったり、道具が故障してしまったり・・・ハプニングもありましたが、参加者の皆様のご協力で何とか乗り越えることができました。ありがとうございました。

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講演会
 11月2日から開催されている、特別展「東北大学の至宝―資料が語る1世紀―」のプログラムとして、当推進室の副室長である、小谷元子教授と大隅典子教授の講演会がありました。

■小谷教授 「科学の魅力−数学の魅力」
 江戸時代に日本独自に発展した数学は「和算」と呼ばれています。同じ時期のヨーロッパ数学に劣らない高度な数学を展開していましたが、明治以降は西洋数学に置き換えられ発展しませんでした.その理由を考えながら、学問とは何かを議論しました。ちなみに東北大学の和算コレクションは世界1です。

■大隅教授 「遺伝子を働かせて脳を活かす!」
 巷では脳トレなど脳ブームと言われていますが、脳の中で遺伝子がどのように働いているかについては、よくご存じない方も多いのではないでしょうか? この講演では、大人の脳の中でも新たに脳細胞が生まれていること、それには多数の遺伝子が関わっていること、遺伝子は環境によって活性化できることなどをお伝えしました。

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受付
 今回のイベントは、東北大学附属図書館からも協力を頂いており、図書館の横山さんと小清水さんが受付を担当して下さいました。
記念撮影
 2日間のイベントを終え、関係者がそろい記念撮影。

  ―塾や習い事など、下校後のスケジュールも忙しい現代の子どもたちに、何気無い普段の生活の中に転がっている“不思議”“科学”に気づくきっかけをプレゼントしたい―そんな思いが込められたイベントでした。
来場者の方々から頂いたご感想
  • 雪の結晶の形が本当にすごいと思った
  • 虫の動き方が不思議でおもしろかった
  • 太陽と地球がどれくらい離れているのか初めて知った
  • シャボン玉で、三角形は中でくっついて、四角形は中にまた四角形ができたのがすごいと思った
  • 色々と新しいことが学べて楽しかった
  • 楽しく学ぶことができ、子供たちも大喜びだった(保護者)
  • DNAの実験が、身近にあるバナナで簡単にできることを知りびっくりした(保護者)

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