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SAの母校出張セミナー
vol.17 平成20年6月12日(木) 仙台市立荒町小学校(宮城県)
丸山 紗知  農学研究科
講演タイトル: 生き物たちのつながり 煮干しの胃の中身を観察してみよう
 「生き物たちのつながりを伝えたい」「疑問から生まれる好奇心を大事にしてほしい」「私たちは色々な生き物の命をいただいているということを実感してほしい」「生き物を身近に感じてもらいたい」etc…
 今回のセミナーを通して子どもたちに伝えたい、感じてほしいと思っていたことをあげるときりがありませんが、私は子どもたちに、1つでいいので心に残るものがあればいいなあと思っていました。
 セミナーでは、簡単な「生き物たちのつながりゲーム」をやったあと、「煮干し」の解剖を子どもたち自身にやってもらいました。私たちが普段口にしている食べ物である「煮干し」から、三角の形をした心臓や、Y字型をした胃を自分達で取り出すことは、子どもたちにとってとても刺激的だったようです。子供たちの吸収力と観察力は非常に素晴らしく、最初うまく胃や心臓を取り出せなかった子も、すぐに見分けられるようになっていました。また、最初触るのをためらっていた子も、最後には自ら進んで煮干しを触り、魚の身体の仕組みを観察したりしていました。
 自身の手が行き届かなかったこともあり、メインの内容であった「胃の内容物を取り出して顕微鏡で観察する」ことをあまりできず、事前にこども達に作ってもらった「ペットボトル顕微鏡」で、胃の内容物(プランクトン)を実際に見てもらうことができなかったことが非常に残念でした。
 しかし、子どもたちが書いてくれたアンケートや手紙で
「他の魚の胃の中も見てみたいな。と友達と話していました」
「水の中で一生懸命魚たちは生きているんだなと思いました」
「私は、実際魚をあたりまえのように食べていたけど、今度からは、生きている物を食べるときは感謝して食べようと思いました」
などと、子どもたち一人一人が心に残ったことを書いてくれたので、嬉しかったです。
平井 雅代  生命科学研究科
講演タイトル: 植物のチカラ**変わるチカラ・変わらぬチカラ**
 前半部では“変わるチカラ”ということで、各テーブルに私の研究材料でもあるアルストロメリアの野生型の花と変異体の切り花を用意し、「これは同じ植物なんだよ。何でこんな風に変わったのかはまだ謎で、私は大学院でこれを調べるために日々がんばってます!」ということを皮切りに、身近にあるサクラ、ツツジ、アサガオ等の変異体の花を見せて何の植物か当てるクイズをしました。クイズ後半ではバラやトウモロコシを使って逆に野生の花や果実から栽培植物を当ててもらい、「栽培植物は野生植物から様々な性質を変化させて作られた人々の努力の結晶」ということを伝えました。
 そこから、「生き物の形を変えるものは何だろう?」と問いかけを発し、「生き物の設計図である遺伝子の変化が形の変化につながることがある」ということを伝えました。
 そして今度は、逆に、“変わらずに命をつないでいる植物”としてイチゴやジャガイモ等を挙げ、彼らの親株と子株は親子に見えて実は同じ遺伝子を持つ双子のような存在であること、これは人の場合母親の胎内にいるごく小さい赤ちゃんのモトしか持っていない“何でも作れる能力”であることを説明しました。
 更に、実践編として1枚の葉から植物体が出来ることを実感してもらうべく、セイロンベンケイソウ(別名ハカラメ)の既に芽の出ている葉を見せながら、まだ芽の出ていない葉を配り、お土産にしました。
 セイロンベンケイソウ等の植物を寄付して下さった薬用植物園の方々や、予備実験で芽の出ている葉を用意してくださった倉田先生、この企画の立案や進行には、先生や保護者の方々のご協力があってはじめて、4年生のみんなとこうしてセミナーが出来たことへの感謝を伝えた後、最後に、一番伝えたかったメッセージである「もっとみんなの身の回りにいる生き物の不思議を探してみよう!」ということで閉めさせて頂きました。
 子ども達は特に現在のトウモロコシとは似ても似つかない祖先種の果実や、葉から芽がでている様子に驚いたようで、「えーっ」と声を上げたり、身を乗り出して見てくれました。その姿や、アンケート結果、後から頂いた4年生みんなからのお手紙の中からはきらきら輝くような子ども達の旺盛な好奇心が伝わってきました。分化全能性や、花に込められた植物の知恵や謎を通じて、生き物の魅力を伝えたかった私は、その反応をとても嬉しく感じました。たくさんの方々に支えられたセミナーでしたが、最後にさわやかな空気の中はじけるような元気をくれた荒町小の子ども達に感謝したいです。
 今回のセミナーは荒町小学校の親子ふれあいの会の一環として4年生2クラス(72名)とその保護者の方々(約50名)を対象に、5、6時間目に行いました。
 テーマが“自然環境や生活環境”ということで、丸山が「生き物たちのつながり 煮干しの胃の中身を観察してみよう」、平井が「植物のチカラ**変わるチカラ・変わらぬチカラ**」というタイトルで、両名各45分x 2クラス分の授業を受け持ち、4年生全員に2種類のセミナーを受けてもらう形にしました。
 1クラス36人の4年生に揃って挨拶をしてもらい、小学校時代を思い出してとても懐かしく、新鮮に感じました。実習部分では目の前のものに夢中になる子ども達に、次の話を聴いてもらうのがなかなか大変でしたが、先生方のご協力も頂いて無事セミナーを終えることが出来ました。また、準備段階では、打ち合わせが1回のみで準備期間も短い中、4年生保護者の学年委員の皆様、特に頻繁にメールで打ち合わせをしてくださり、小学校の先生や他の保護者の方々とこちらとの間をつないで下さった竹谷洋子様には感謝の言葉に尽きません。


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