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SAコラム

「SAコラム」は、サイエンス・エンジェル(SA)たちが、自分の研究の様子や普段の生活などを語り、女性科学者(大学院生)としての日常を紹介することで、 多くの女子高校生(及び大学生・中学生)に“私もやってみたい”“理系っておもしろそう”と感じて頂く為に企画しました。一般の方にも科学の面白さをお伝えできれば幸いです。

vol.13 臨床から研究、研究から臨床へ ―顔の『かたちづくり』―
歯学研究科 顎口腔矯正学分野 寺尾 文恵

こんにちは。歯学研究科の寺尾文恵です。「歯学」と言うと歯医者さんでの治療のイメージが一番に浮かぶ方も多いと思いますが、歯学研究科では、歯科診療だけでなく、歯や骨に関する研究、歯科材料やインプラントなど、様々な研究が行われており、臨床・研究の両面から歯科医療に貢献しています。私が所属する顎口腔矯正学分野では、簡単に言うと、歯並びやかみ合わせの異常に対する矯正歯科治療や研究を行っています。

矯正歯科治療の対象疾患としては、一般的な歯並びやかみ合わせの異常、アゴのかたちの異常による歯ならびやかみ合わせの異常(顎変形症)、歯並びの異常を伴う先天異常が挙げられますが、いずれの疾患でも、歯並びだけでなく、アゴの大きさ、位置などの顔のかたちが診断・治療におけるポイントの一つとなります。このことが、現在、取り組んでいるテーマである、胎生期に顔やアゴの『かたちづくり』はどのようにコントロールされているのかということにつながります。

生き物は全てそれぞれ特有の『かたち』をもっており、その『かたち』はさまざまな遺伝子によって制御されています。皆さん一人ひとりの顔のかたちは、生まれる前から始まり生後の成長発育を経て形成されていきますが、もとをたどれば口のまわりの小さな突起から成ります。胎生期、この小さな突起から顔のかたちができる過程はどのように制御されているんだろう?という疑問に対する答えを探すべく、日々、研究を行う毎日です。臨床での疑問から起こった研究ではありますが、将来的には、この研究成果が再び臨床に結びつくことを目指しています。

高校時代を振り返ってみると、生物は好きなのになぜか成績が上がらず、向いていないかな?と悩んだこともありました。それが今では楽しく発生生物学の研究をしているのですから、不思議なものです。案外、「苦手」というのは私の思い込みだったのかもしれません。

3月でサイエンス・エンジェルは卒業となりましたが、このSAコラムを通じて、皆さんが『理系進学』というドアを開ける手助けが少しでもできれば嬉しく思います。

写真1:海外での学会発表の様子。
写真2:胎齢12日のラット(ネズミ)。どこがアゴになるか分かりますか?
写真3:歯科診療だけでなく、実験も行っています。
写真4:かみ合わせとアゴの形は深く関わっています。

東北大学大学院歯学研究科ホームページ



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